今日は陛下が記念式典の出席された際のお言葉の紹介です。
【おことば】
平成15年11月16日(日)(奄美振興会館)
本日,ここ名瀬市において,多くの関係者と共に,奄美群島日本復帰50周年記念式典に臨むことを誠に喜ばしく思います。
奄美群島は,先の大戦の後,昭和21年に日本本土から分離され,米国の施政下に置かれました。昭和27年4月,日本と連合国との平和条約が発効しましたが,この状況に変わりはありませんでした。群島挙げての復帰運動がようやく実を結び,ついに日本に返還されたのは,それから1年半以上経った昭和28年12月25日のことでありました。復帰運動に携わった多くの人々の労苦はいかばかりのものであったかとしのばれます。日本人の多くが,この復帰を平和条約に続くうれしいことと喜びをもって迎えたことが思い起こされます。
私どもは,復帰から15年を経た昭和43年,鹿児島市で行われた明治百年記念式典に出席した機会に,奄美大島を訪れ,また,それから4年後,昭和47年鹿児島県で行われた第27回国民体育大会夏季大会出席の機会には,徳之島を訪れました。これらの島々への訪問は,懐かしい思い出として私どもの心に残りました。それとともに,島の生活の厳しい状況にも理解を深めることができました。ハブが島民に及ぼす影響の実例について聞いたことも思い起こされます。
私どもが奄美大島を訪問してから35年の月日が経ちました。今日,島は,当時に比べ,社会基盤が良く整備され,生活が向上してきていると聞いております。永年にわたり,奄美群島の発展に力を尽くした多くの人々に対し,ここに深く敬意を表します。
奄美群島はアマミノクロウサギやルリカケスを始めとして,群島にのみ生息する生物が多くいることで特徴づけられます。しかし,島の生物は個体数が限られ,環境の変化にも決して強いものではなく絶滅が心配されます。特にオオトラツグミは百羽程度しかおらず,極めて厳しい状況にあると言われております。島の人々の生活に配慮しながらこれらの貴重な生物を守っていくことは極めて大切なことと思います。
奄美群島日本復帰50周年の機会に,島民皆が,復帰運動に取り組み,これを成し遂げた先達の努力に思いをいたし,島の特性を生かして,様々な面で島を豊かにしていくよう願っています。
終わりに,奄美群島の一層の発展と島の人々の幸せを祈り,お祝いの言葉といたします。
『日本の暦』より
天皇皇后両陛下はこのような式典や外国から来た要人とお会いになる際に、失礼のないように史実や国際情勢などをお調べになっているようで、読んでみると勉強になることが多いです。
宮内庁のホームページには天皇皇后両陛下のお言葉がたくさん掲載されていますので、読んでみると面白いですよ。
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